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とろの大脱走 [diary]

置物とろ 寝起き編

先日14日の土曜日は、ヴィオラのユリと、ベルギーでのコンサートでした。
ドイツの西の街アーヘンから、車で30分。
とーーーっても素敵な古いお城での非公開コンサートでした。

この日のプログラムは、

ブラームス:ヴィオラソナタ 作品120-1
シューマン:おとぎの絵本 作品113
ロスラヴェッツ:ヴィオラソナタ第一番(1926)
(ロスラヴェッツとは、ロシアの作曲家。ヴィオラソナタは3曲書かれて、2曲出版されています。ハーモニーはまさにスクリャービンのよう)


しかし、この日はほんと大変でした。
ベルギーへ行く前に、家でユリと合わせをしていく予定でしたが、その一時間前あたりから、とろの姿が見えない。部屋中探しに探してもいない。大好きなお菓子が入っている缶をカンカンしても走ってこない。おもちゃのネズミの鈴をブンブン振り回してもこない。
うちの部屋は100平米と結構広く、そして物も多くて探すのが大変。それでも家の中にいて、この音を聞けばほぼ100%捕獲可能なのです。

いかん、これはおかしい。家にいない。

何か理由があるとすれば、郵便屋さんが来て扉を開けた瞬間か、もしくは、斜めに開けている窓から逃げたか。(それはほぼありえないけど)
とろも、その数日前に去勢の手術をし、精神的に少しおかしい様子だったので心配は倍増。

ユリと一生懸命探して、アパート中、そして一階の庭もくまなく探しても出てこない・・。向いは車の通る、路面電車の通る大きな通りなので、そちらに出ていないことを祈りつつ、でも一応捜索。いない・・。

結局家を出なくてはならない時間まで帰ってこず(合わせもできず)、親切な隣人に事情を話し鍵を渡して、もし見つけたら家の中に入れておいてもらうよう頼んで、泣く泣くベルギーに向かいました。
電車の中でも、いてもたってもいられず、こんな状態で演奏できるのだろうかとかなり不安で・・。
特に、とろが手術の影響もあって、いつもの精神状態じゃないことがとても心配でした。

それでも、頑張って演奏し、演奏後の食事会でも、この私が中々食欲もわかず、早く帰りたいのに、一人で帰れる距離でもなく、誰かと一緒に帰れるのをひたすら待ち続けていました。お客様皆さんとお話していたら、結局23時過ぎ。

もう一人で暗い外で、特にこの日は寒い日で、食事もせずに、いったいとろはどこにいるの?帰ってくるのだろうかととても不安で、0時半に帰宅。


アパートに入って部屋に駆け上っていったら、どこかで「ミャーミャーーー-」と聞き覚えのある声。

「とろっ!!!」

と探したら、一階の庭からコソコソと出てきました。
もう安堵というか、気が抜けてしまって・・・。
怪我もせず、手術の経過も問題なく、、無事我が家に戻ってきました。

ああ、ほんとうに、なんという長い一日だったんだろう。

とろは帰ってきて、ご飯にがっつくこともなく、お水をひたすら飲んでいました。
・・いったい、やつは外で何を食べたんだ。。


ということで、とろのおかげで、素敵なベルギーのお城の写真を撮り忘れ、美味しいご飯を食べ損ね、トホホな土曜日でしたが、素敵な出会い、また他の芸術家の話をたくさん聞いたり、素晴らしい時間を過ごせました。(そういう状況だったのであんまり覚えていませんが)

ヴィオラのユリも必死に探して、精神的にそれどころじゃなかったでしょうけれど、合わせもできない中、素晴らしい演奏でした。特にシューマン。
アンコールでは、再び「からたちの花」を演奏しまして、みなさんに喜んでいただけました。日本の曲はあまり聴かれたことがないようで。


一つ面白いエピソードが。
予めお客様に送られた招待状に、ユリ・ボンダレフ(ヴァイオリン)と書かれていました。笑
もちろん、当日のプログラム、演奏前のお話でも、「ヴァイオリンではなくヴィオラです」ということを言っておいたのにも関わらず、演奏後も。。

「いや~素晴らしいかったわ!ヴァイオリンとピアノのデュオ!」
「とてもやさしい音をするのね、ヴァイオリン!」

ユリは、それを訂正することなく、いつもの笑顔で、「ありがとうございます」と言っていました。笑

遠くからみると、ヴァイオリンとヴィオラはほとんど違いはないため、わかりづらいとは思うのですが、そういうことも彼らの中ではしょっちゅうなんでしょうね。

私のほうにも、「彼のヴァイオリンの音も素晴らしい深みを持っていた」というメールもあり。。。
きっとずっとあの楽器はヴァイオリンと思ってコンサート聴いて下さっていたんだぁ、と思うと・・。
どう、お返事を書いていいものか・・・。笑
コメント(4) 
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コメント 4

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原渕智史

コンサートお疲れさま。コンサートもたくさんの人が来てくれてなによりだったよ。でも、とろちゃんが脱走してしまったけど、鳴き声だけでも、分かって、無事に帰ってきてくれてよかったね。また、珠里ちゃんと、とろちゃんの生活ができるのを期待しているよ。こないだ、5月16日月曜日にあの、児玉清さんが肺がんで77才で死去したよ。僕も18日水曜日の新聞を見て、びっくりしたよ。僕は、児玉さんをすごく尊敬していたのに、肺がんで死去したのは、どても悲しくて残念で仕方ないよ。もう児玉さんのアタックチャンスが一生聞けないのも残念だよ。明日、21日土曜日は、大野コミュニティーセンターへいって、甫おじいちゃんの歴史講座が始まるから今、楽しみにしているよ。また、甫おじいちゃんのことがあったら、またブログ書くね。こないだのラジオ祭りのブログで名前を出したりして、ごめんね。珠里ちゃん。
by 原渕智史 (2011-05-20 10:55) 

mika

富田珠里様、Guten Tag! Wie geht es Ihnen? ちょっと挨拶だけ覚えました。お久しぶりです。コンサートお疲れ様でございました。 とろちゃん元気に戻られて良かったですね。 今、シューマンの『トロイメライ』と『異国から』を尾沢先生に教えて戴いておりますが、なかなか上手に弾くことが出来ず練習を頑張っております。尾沢先生も呆れていらっしゃると思いますが。本人は一生懸命練習はしているのですが本番に弱い私です。
 『からたちの花』今度、聴かせてください。心待ちしております。
 お身体にはくれぐれもお気をつけ戴きたいと思います。尾沢先生はお腹の調子が悪いそうです。元気になられるといいのですけどね。では、お元気で。Auf Wiedersehen.
by mika (2011-05-21 12:34) 

shuri

ぶちくん

私もニュース見てものすごくビックリしたよ。同時にとってもショックだった。
アタックチャンスでも、ドラマでも、色々なところで児玉さんの思い出は濃く残っているなぁ。
77歳だなんてまだまだお若いのに。。
あの児玉さんの笑顔が見られなくなるのが、とても残念だね。

甫おじいちゃん、大活躍だね!全然知らなかった。笑


by shuri (2011-05-25 00:32) 

shuri

mikaさん

Super!!!! 素晴らしい!
順調ですね!ドイツ語。

尾沢先生、お腹の調子、しょっちゅう悪くしちゃうんですよね~、昔から。(笑
ものすごく繊細なんですよ、ああ見えて。笑
最近メールをしてもめっきり返信がないのは、そのせいでしょうか。。

トロイメライと異国から、素敵ですね。
私も何年やっていても本番はやはり緊張します。
その中でどう自分自身で楽しめるか、それが大事になってくるように思います。頑張ってくださいね!!
by shuri (2011-05-25 00:54) 

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